“報道威圧発言”広がる波紋
2015年6月29日(月) 21時39分
●池尻キャスター
ここからは、「政治ウォッチング」です。
●坂田キャスター
こちらは、福岡1区選出の井上貴博議員です。
自民党若手の勉強会で報道を威圧する発言をしたとして、厳重注意の処分を受けた1人です。
●池尻キャスター
自民党は、安全保障関連法案の審議への影響を最小限に抑えて幕引きを図る狙いですが、野党からは「トカゲのしっぽ切り」との批判が出ています。
おととい、福岡市で講演した作家の百田尚樹氏。
沖縄の2つの地元紙を「つぶさないといけない」と発言したのは、「冗談だった」と釈明しました。
●講演する百田尚樹氏
「たまたま沖縄の新聞(の話)をふられたからね、ハハハと笑いながら、『あの新聞やっかいや。あれはつぶれてもらわんとな。ハハハ』って、会場もどっと笑って、それで話は終わり。そのひと言」
今月25日、自民党本部で開かれた勉強会「文化芸術懇話会」。
●勉強会で話す百田尚樹氏
「30分ぐらい、ちょっとマスコミの批判をしようと思っています」
講師の百田氏の発言に呼応して、大西英男衆議院議員が「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番だ」と発言。
さらに、福岡1区選出の井上貴博議員は「テレビの提供スポンサーにならないことが一番応える」と発言し、厳重注意の処分を受けました。
井上議員は「私の発言が誤解を招いたとすれば、申し訳なく思っている」とのコメントを発表しましたが、「周囲から止められている」として、カメラの前で弁明することはありませんでした。
自民党が臭いものに蓋をした形です。
●今林記者
「地元選出の議員も処分を受けましたが、福岡の有権者は、この問題をどう受け止めているのでしょうか?」
●市民
「ちょっと危ないね。ちょっと、いい加減にしてよっていう感じやね」
「やっぱりおごりですよ。以前は自民党やったんですけどね、今は違いますね。ちょっと自民党はおかしいなっていう感じがしてます」
福岡の野党からも「安倍チルドレンがマスコミに対して圧力をかけている」と批判の声が上がっています。
●民主党福岡県連・大久保勉代表
「私ども議会議員としましては、民主主義が極めて重要です。そのためには、公正中立な報道、メディアの報道が重要です。その公正中立なメディアに対しましてスポンサーを外す、
もしくはスポンサーに圧力をかける、言語道断です」
報道と政治をめぐっては、福岡2区選出の鬼木誠議員が、今年3月の衆議院総務委員会で、NHKに対し、「国益を害するような好き勝手なことを発信する自由はないはずだ」として、
時の政権の考えに沿った放送を行うことを求める考えを表明しています。
自民党は、今年4月、調査会を開き、NHKとテレビ朝日の幹部を呼びつけ、番組内容の説明を求める異例の対応を取っています。
政治学を専門とする九州大学の出水薫教授は「民主主義の原則がわかっていない」と批判します。
●九州大学(政治学)・出水薫教授
「健全な政府の批判が行えなくなるということですよね。多様な意見が表現できなくなる。それは、自由でなくなるということですし、現職の国会議員があからさまにそういったことを
発言できる状態があるっていうこと自体が、今の政治のある種、全体としての危うさを示している」
出水教授は、現在、国会で審議されている安保法制などに関する報道が、これらの発言の根底にあるのではないかと考えています。
●出水薫教授
「安保法制が違憲の疑いがあるをのではないかというような世論の雰囲気が出てくる中で、恐らく政府・与党としては、まさに自分たち自身が進めようとしているものにとって、
不都合な雰囲気をマスメディアが生み出している、力を貸しているというような見方していて、だから、うるさい奴は黙らせるというようなことなんではないか」
報道を規制する発言が出た問題は、きょうの安全保障関連法案をめぐる国会審議でも取り上げられました。
自民党は、会を主催していた木原青年局長を更迭し、井上議員ら3人に厳重注意の処分を下して早期の幕引きを図っていますが、野党からは「トカゲのしっぽ切り」との批判も出ていて、
法案の審議にも大きな影響が出ています。
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